読書の春(え



蛇の魔術師を読破しました。
上巻に劣らず、ハラハラ・ドキドキでした。
時間がないので、簡単な印象を少々。

上下で比べられないのだけれど、おいらの好みは
「無限コンチェルト」ですね。
上は言葉・詩にウエイトがおかれ、下は音楽やワインにウエイトがおかれて
いるようです。
「蛇の魔術師」は、上巻に劣らずアイディアと冒険と驚きと愛憎
に満ちた話なんだけれど・・・話のスケールが大きくて、にわかに
理解しがたい世界でした。


主人公が未知なる真実をもとめて凶暴な妖精(シーと呼ばれる妖精たちが作った王国)
の世界に迷い込みその世界で生き抜く訓練や恋愛、戦い、仲間の友情を通じて元の地球に
もどってくる・・・というのが上巻の話でした。


下巻は、地球にもどった主人公の周りで、・・・(今日は略)


上巻は、コールリッジ*1の詩が重要な意味をもっていた。

「Kubla Khan : Or, a Vision in a Dream --- A Fragment
クーブラ・カーン あるいは夢で見た幻想−−断章」


コールリッジの詩集を購入し、ようやく意味がわかりましたorz


この詩は、筆者が、(アヘンとの説)夢の中で、Xanadu(上都:ザナデュ)
フビライ・ハンが壮大な王宮を建てたのを見て、詩人の筆者はそれを
夢の中で詩に記した、もの断片である。

・・・・・・・夢から覚めると、彼はこの荘厳な美しい
宮殿の詩を、紙に書き取るのであったが、途中でポーロック(イギリスの地名)
というところから男が訪れたため、一時書き留めることが中断してしまった。
用事が済み、彼が再び美しいイメージをつかもうと苦悩するのだが、もはや
その詩は永遠に失われて、書き記すことができなかったのだという前書きがある。

「無限コンチェルト」の中では、この詩をもちだして、ポーロックから来た男
(あるたくらみのため、コールリッジに詩を完成させるのを、阻止させた!)
が、魔術師として登場してくるのである。


ポーロックって何?と最初思ったのですが、コールリッジの詩集の説明がなければ
読み飛ばしていたところです。。。
妖精と人間、あるいはそのハーフが三つ巴の戦いを繰り返し、主人公はその勢力の
波に翻弄されながら、生き抜いていくというのが上巻なのでした。


シーは、王国にハーフと人間を一箇所にあつめて、生活させているのだが、
このハーフの住む町と人間の町は別々に分かれ、あまり交流はなく、
互いに嫌悪しあいながら生きています。

妖精の国で生活する主人公は、人間の町ではなく、ハーフの町住むことを
許されるのですが、10年の末、下巻を読み、その意味がようやくわかりましたorz
人間の主人公はハーフの元でシーのように魔法の訓練を受け、
努力の末にかすかな魔法を使えるようになるのですが、
なぜ魔法が使えるようになったのか、不思議だったのです。なんとまぁ・・・。


さて、上下を通じて重要なキーワードである魔術師とはどんな設定なのでしょうか?
この世界では、魔術師は力ある集団の中心人物の事として、語られています。
魔法を使うから、魔術師というわけではないようです。
妖精の魔術師は、妖精の王国では神「アドンナ」と呼ばれ崇拝の対象であり、
3X3EXESでいうところ
のアマラのように王国それ自体です。対して、人間側は基本的に魔法は使えません。
例外は「蛇の魔術師」と呼ばれる存在だけです。そして、ポーロックから来た男は
アイソメイジという魔術師の名前で呼ばれており、表向きには妖精の王国に拉致されて
きた人間
(音楽の才能やダンスの才能など芸術に秀でているため、妖精の王国に拉致されている)
を開放する”人間”だと言われています。


この作品で面白いのは、やはり3X3EXESのように、力ある者たちがとてつもなく
長生きだということです。


アドンナ・・・数万年
蛇の魔術師・・・6000万年(太古の人間の生き残り。。。すごい設定)
アイソメイジ・・・500年
主人公・・・・16歳
たしかシヴァが3000年でパールバティが3、400年なので・・・
にたような種族ですねぇ・・・っていうか親戚かw
三つ目と妖精・・・うむむw






<歴史>
はるかな昔、人間とシー、失われたいくつかの種族は楽園で生活していた。
やがてシーははるかな星ぼしの間をかけめぐり、偉大な事業をなしとげた。
ふたたび、地球にもどってきたシーは旅のためにかなりの少数になっていた。
そして、それぞれの派閥による権力争いの結果、戦争が起こった。
シーと人間との戦争において、シーは魔法で魂を抜き取られ、カマキリのように
子孫を残すには夫婦のどちらかが死ぬよう呪われてしまう。
対して、人間はねずみに退化させられてしまう。


たぶんもう書く機会がないので下巻から引用・・
主人公>かつて人々は自分たちの作った宇宙にしか住まなかったのかい?
蛇の魔術師>あたりまえだ。今どきの子供はわけがわからんな。おまえだって
風雨の吹く外にいるよりは、家を建てて中に住むほうがよくないか?


(」゜ロ゜)」
・・・・偉大な魔術師は地球や宇宙を創造できるようですが、地球の年齢は50億だし
宇宙にいたっては・・・・・・・、ん?矛盾がw

*1:ほかにコールリッジを扱っている作品は、HPラヴクラフト系のイエメン系の魔術師を扱った「アヌビスの門」ですね。こちらはやや神経質なコールリッジが登場します。あるいは詩人ということならば20世紀後半SFに巨大に君臨する「ハイペリオン」のジョン・キーツでしょうか。こちらは人気なので書店ですぐ手に入ります。